お寺が地域に“巻き込まれる”という選択。|「あさぶおすそわけマーケット」―北海道覚王寺
(画像提供:内平さん)
「お寺の活動事例集」では、全国の浄土真宗本願寺派寺院で行われる催しや取り組みをご紹介しています。今回は、北海道札幌市にある、覚王寺さんで行われている「あさぶおすそわけマーケット」について、同寺住職の内平淳一(うちひら・じゅんいち)さんにお尋ねしました。
覚王寺住職 内平淳一さん(写真提供:内平さん)
どんなイベント?
――概要とご活動のきっかけを教えて下さい。
内平:「あさぶおすそわけマーケット」とは、お寺の境内や本堂を活用して開かれるマーケットです。2014年から活動を始めました。マーケットでは、麻生とその周辺地域でご縁のある農家さんやお店に出店していただいています。物品や食材だけでなく体験、遊びや整体といったサービスもあります。
「おすそわけ」ということで、ただ物品の売買だけなく、プラスで無料サービスをしていただくことを出店の条件にしているところが大きな特徴でしょうか。イベントを通して、財だけでなく心のやりとりも生まれればと思い、活動を続けています。
――どういったきっかけがあり、ご活動を始められたのでしょうか?
内平:地域の方との話し合いがきっかけです。近年は商店街の活気がなくなり、明るい未来を見通せない中でどうすれば良いかを地域の人たちが自分たちで考えようと、「商店街未来会議」という集まりが行われました。札幌市主導で行われたこの会議は、商店街や学生、NPO団体が集い、数回にわたって商店街の課題や魅力を話し合う、というものです。
初回は2013年に行われ、その時の話し合いで
・地域で人と人の交流ができない
という課題を見出しました。
課題解決を模索する中で、お寺をコミュニティの場に出来ないかと地域の人が提案され、それが具体化されたのが現在のマーケットです。なので、地域の人によって生み出されたと言えますね。お寺で実施しているものの、お寺発ではないところが大きなポイントです。
――ご活動の中で大切にされていることはなんですか?
内平:声をかけていただいたときに、なるべく断らないようにしていることでしょうか。地域のためになにか貢献できれば、という思いでやっています。
自分のためでもあります。やっぱり、お寺から外に出て、初めて知ることのできる世界がありますよね。
また、私が外に出ることで、改めてお寺の住職としての意見を求められる機会も増えました。地域にとっても、運営メンバーに僧侶がいることで違った視点を得られているのかもしれません。
お寺の方は地域の方を巻き込んでご活動されるケースも多いと思いますが、私の場合は巻き込まれている側だと感じています。僕自身は特別何かをやりたいという思いは持っていなくて、地域の方々の思いにできるだけ巻き込まれるようにしています。可能なかぎり、地域の方の「お寺で何かやりたい」を実現できるお手伝いができれば良いですね。
――ありがとうございました
覚王寺について
【寺院名】
浄土真宗本願寺派 崇徳山 覚王寺
【住所】
〒001-0045
北海道札幌市北区麻生町5丁目2-12